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第63回比較統合医療学会学術大会

本大会中の写真は学会の許可を得ているもの以外は閲覧禁止とさせていただきます。

※2019年8月4日(日)より一般財団法人となりました。

第63回比較統合医療学会学術大会を開催しました

2019/8/3〜4

テーマ:光と水の医療 ~Aquaphotomics Medicine~

会 場:東京・ワイム貸会議室四谷三丁目
大会長:安川 明夫 (一般社団法人 比較統合医療学会 代表理事、西荻動物病院、上石神井動物病院、東京医科大学腎臓内科学分野、一般社団法人林屋生命科学研究所)


令和元年8月3日(土)

会長挨拶
安川明夫(一般社団法人 比較統合医療学会 代表理事、西荻動物病院、上石神井動物病院、
東京医科大学腎臓内科学分野、一般社団法人林屋生命科学研究所)

Aquaphotomicsとは、神戸大学農学部生体工学分野教授のTsenkova Roumiana先生により提唱された研究分野であり、Aqua(水)とPhoton(光)のOmicsを合成された研究分野を表す用語である。Tsenkova Roumiana教授は近赤外線を使用して水の分子構造を検る手法を用いている。

基調講演ではAquaphotomicsを如何にして臨床現場に於ける診断と病態解明に還元していけるか否かをTsenkova Roumiana教授に解説して頂く。
今回も盛り沢山の講演と一般演題(25題)となり、多くの方々に参加していただいた。活発なディスカッションを行い、新しい時代ふさわしい新しい光と水の学問・研究を身に付け、これからの臨床、研究に寄与していただきたい。


【教育講演】
猫の肥満症と炎症
演者:新井敏郎(日本獣医生命科学大学教授)

近年、犬や猫でも彼に伴って肥満が増えているが、特に猫は特有の糖脂質代謝メカニズムを持ち、肥満しやすい動物である。肥満症の抑制には早期診断、早期治療が効果的と言われおり、猫では肥満に伴う炎症が早期に判定できるserum amyloid A(SAA)が有力視されている。また、肥満症では血中のアディポネクチン濃度が減少することも明らかになっており、猫肥満症の早期マーカーとして重要である。

猫肥満のメカニズムはヒトとよく似ている。猫の肥満症研究から得られる知見はヒトの肥満症、それに伴う重篤な疾病の予防に活かされるであろう。


【教育講演】
CKD およびAKIにおける補完療法:大黄末直腸透析、リン吸着サプリメント、高濃度水素輸液
演者:宮本賢治(エンジェル動物病院)

犬、猫のCKD(慢性腎不全)はヒトと同様、加齢に伴い発生率が増加し、成犬では死亡原因の第3〜4位、猫では5歳以上の場合第1位を占めている。また、犬猫ではAKI(慢性腎障害の疫学調査)が少なく、どの段階でCKDに移行するのか不明な点が多い。今回は、まずCKDとAKIの病態生理と補完療法の基礎理論を説明し、症例を交えて補完療法の実際を紹介した。リノパイトP、リノパイト直腸透析、高濃度水素輸液剤などはCKDとAKIの発症を抑制する可能性が期待されている。


【ランチョンセミナー】
露地栽培アガリクス(KA21 株)の免疫増強作用・抗腫瘍効果
演者:元井章智(東栄新薬株式会社)

ブラジルで露地栽培されたアガリクス(KA21株)に関しては、これまでに免疫増強作用、抗腫瘍効果、肝障害緩和効果などが報告されてきた。中でもがんに関する効果は注目を集め、ヒトのみならずペットのサプリメントにも用いられている。今回はアガリクスの免疫増強作用、抗腫瘍効果についての試験を行い、その結果を報告した。アガリクスの免疫増強作用についてはヒト8人のダブルブラインド試験、抗腫瘍効果についてはマウスで行っている。免疫増強作用は有意差が見られなかったが、抗腫瘍効果については経口投与において腫瘍の縮小が確認された。


【基調講演/招待講演】
アクアフォトミクス:すべてのオミクス研究を補い、つなぐ学問分野病気診断と理解のためのオミクス
演者:Roumiana TSENKOVA(神戸大学農学部生体計測工学分野教授、慶応義塾大学医学部客員教授)

誕生して20年、アクアフォトミクスは急激な進歩を遂げている。水は外的、内的要因の変化に敏感に反応するが、光との相互作用により水の分子構造が明らかになりシステムダイナミックスのマーカーになることがわかった。これにより、システム内の水は受動的な不活性分子から、生物学的システムならびに水溶性システムにおいてさまざまな機能と構造を有した積極的な役割を果たす存在へと見られるようになった。
水素結合は感度が高く、水システムや生物システムの変化に応じて形を変える。こうした特性がバイオ計測、バイオ診断、バイオモニタリングなどに新しい鍵として利用されつつある。


<一般講演>
1. 本院におけるXenon Light-V(TAMAX 社製)の活用事例
演者:笹井麻帆(宮崎大学農学部附属動物病院)
2. ウルトラフォトニックによる皮膚感染症治療
演者:山口貴也(山口醫院)
3. 宝石光線療法による糖尿病治療
演者:山口貴也(山口醫院)
4. 経頭蓋微弱超音波刺激による頭蓋骨内音場および脳血流の変化
演者:岡野秀鑑(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所)
5. 経頭蓋微弱超音波刺激による認知症症状軽減効果 ―パイロットスタディ―
演者:藤井博子(医療法人社団 フォルクモア クリニック 医庵センター南)
6. 人透析の歴史と小動物精密透析
演者:小森正樹(株式会社リーフインターナショナル、東京医科大学腎臓内科)
7. 慢性腎臓病の猫における直腸透析治療の一例
演者:小関 隆(高輪往診動物クリニック)
8. 猫重症CKD に対して効果を認めたホモトキシコロジー療法+α
演者:阿部知弘(アネモネ動物病院)
9. 視覚で理解する、実践歯磨き指導
演者:横塚昌子(Dandy Smile)
10. オゾン水およびオゾンガスを併用した歯内療法
演者:廣田 健(ひろた歯科医院)
11. Phiten・Air(ファイテン・エアー〈株式会社ファイテン〉)及び電解オゾン水除菌スプレーQueows(キューオス〈株式会社S.R.I.〉)を用いた動物病院内施設除菌効果パイロット試験結果から、その可能性について
演者:大塚幸一郎(上石神井動物病院)
12. 犬・猫における水素灸治療
演者:小関 隆(高輪往診動物クリニック)
13. 小建中湯変方を投与した犬と猫の2 症例
演者:橋本昌大(高草山どうぶつ病院)
14. 胸腰椎椎間板ヘルニアにおける鍼灸治療および中薬サプリメント使用の予後に関する考察
演者:増田国充(ますだ動物クリニック)
15. シリカ(二酸化ケイ素)水の犬・猫への臨床応用
演者:相良 稔(さがら動物病院)

 

懇親会の様子

 

 

 

 

 

 


 

令和元年8月4日(日)

【ワークショップ】

ラット創傷モデルにおける660-nm半導体レーザーの創傷治癒効果
演者:鈴木亮一(井の頭通り動物病院、(一社)林屋生命科学研究所)

ラットの創傷モデルにおける660-nm半導体レーザーの創傷治癒効果について調査した。実験動物は60頭のラット雄8週齢を使用、胸部背側に15mmの切開創を作製して単純結紮で閉鎖した。組織学的所見において有意差は認められなかったが、引張試験では平均破断強度ならびに剛性がコントロール群よりも1J/cm2、5J/cm2で有意に大きかった。統計的な差は認められなかったが、10 J/cm2ではコントロール群に比べて大きな値を示した。

オサダダイオトロンの治療効果と臨床応用
演者:渡邊正俊(渡邊動物病院)

オサダダイアトロン1000Vは波長810mmの近赤外光と波長660mmの赤色可視光の2波長を発生する半導体レーザー素子を有する。さらに2種の波長を同時に照射することも可能である。さらにスペーサーキャップによりパワー密度も選択できる。単独照射と2波長同時照射で治療効果にどのような差が出たのか、疾患別に報告した。

半導体レーザー“OSADA Diotron 1000V”の臨床的・実験的有効性に関する考察
演者:安川明夫(西荻動物病院、上石神井動物病院、東京医科大学腎臓内科学分野、(一社)林屋生命科学研究所)、小森正樹(東京医科大学腎臓内科学分野)

半導体レーザーのE.D.(エネルギー密度)については、従来から適用の対象となる疾患によって臨床的にさまざまな議論があるが、確定的な結論が出されていない。今回のワークショップにおいては手術創の創傷治癒促進効果を演者ら3人の実験データを提示して討論した。更に一方のOSADA Diotron 1000Vにファイテン加工を施し、同器の効果を比較検討したところ有効性の高まりが見られた。


【特別講演】
エキノコックス汚染環境の修復
演者:神谷正男(合同会社環境動物ファーラム共同代表)

エキノコックス症は20世紀初頭に日本に侵入した寄生虫で、人にも動物にも感染する。特に人に感染した場合には重篤な健康被害になることで知られている。北海道に定着後も、現在に至るまで毎年20名の感染の届出があり、20世紀末まで感染源対策無しの状態であった。知多半島で野犬の感染が確認されており、北海道以外にも感染が拡大している可能性がある。
感染源対策に関する技術開発として「検体採取容器“エキビン”」「犬の迅速診断キット“エキット”」「プレート法によるキツネの診断」「キツネ用駆虫剤入りのカマボコ=ベイト」などを紹介する。ベイト散布によって2018年には北海道、後志管内倶知安町において中卵検出率は0.5%となりキツネから排出される人への感染リスクは除去された。


【招待講演】
天然温泉施設「ゆの里」の水のアクアフォトミクスによる検証と実例
演者:重岡昌吾(株式会社重岡代表取締役)

天然温泉施設「ゆの里」では1990年から3種類の異なった機能を持つ湯が湧き出している。これらの湯は湧きだし時から止血作用や創傷治癒に効果があると言われており、以前からそのメカニズムを解明したいと考えていた。幸いにも神戸大学のTSENKOVA教授と知り合うことができ、アクアフォトミクスという新しい概念で解説していただいた。従来は水中に溶け込んだ溶質の差によって水の機能性が決まると思われていたが、水の構造によって機能が決まるという考え方である。2011年から神戸大学との共同研究が始まり、「ゆの里」に湧く湯の構造が徐々に解明されつつある。


【特別講演】
乳酸菌と老化抑制について考える 〜乳酸菌H61株が及ぼすヒトとペットへの効果〜
演者:木元広実(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)

高齢社会の到来により、我が国では老化を抑える物質の発見が望まれている。まず、考えなければならないのは老化の指標を何にするかである。そこで、H61株のヒトにおける老化抑制効果を検証する目的で女性の肌へ及ぼす影響を調べた。女性被験者がH61株(約400億個)を4〜8週間摂取した際、50〜60代において肌の水分量減少抑制効果を示した。これまでに乳酸菌死菌体の摂取により肌の状態が改善されるという報告はなく、乳酸菌の新しい機能が見いだされた。
家庭で飼育されている年齢、性別、体重、犬種の異なるイヌ(平均年齢10歳)にH61株のみで製造したヨーグルト(109〜1010/日)を6週間投与したところ、老化関連指標(外観、体臭、生活習慣など)が改善された。今後、ペット産業でのH61株の利用促進に繋がるものと期待している。


<一般講演>
16. 健康な猫に何を食べさせたら良いのか?
演者:小宮山典寛(三鷹獣医科グループ)
17. L-カルニチンと種々臓器における分布と機能について
演者:王堂 哲(和洋女子大学客員教授・ロンザジャパン株式会社 学術顧問)
18. 【学会賞受賞講演】
高解像度超音波イメージング装置を用いた日本住血吸虫感染マウスにおける病態生理学的変化の経時的観察

演者:前澤勝美(東京医科歯科大学大学院 国際環境寄生虫病学)
19.「Ultra Photonic Balancer」(株式会社TAMAX製)の歯科臨床への応用
演者:神野剛良(アルファデンタルクリニック)
20.光量子エネルギーと健康
演者:齋藤秀彦(斎藤バイオテクノロジー株式会社)
21.小動物におけるLQE療法の可能性
演者:相良芙美(横須賀中獣医クリニック)
22. 5-FU の副作用に対する露地栽培アガリクス(KA21 株)の有用性
演者:元井章智(東栄新薬株式会社)
23. 露地栽培アガリクス(KA21 株)の真菌感染症に対する効果
演者:田島克哉(東京薬科大学薬学部免疫学教室)
24. 多機能性食品素材「糖転移ヘスペリジン」の開発とその応用
演者:遠藤 伸(株式会社林原 研究部門)
25. ヘキサゴンフィールド変換装置(商品名:νG7)活用水の生物への有効性報告
演者:谷川真司(いのちの素株式会社 代表取締役)

 

第63回比較統合医療学会学術大会の受賞者についてご報告いたします。

学会賞
橋本昌大(高草山どうぶつ病院)
小建中湯変方を投与した犬と猫の2 症例

学術奨励賞
遠藤 伸(株式会社林原 研究部門)
多機能性食品素材「糖転移ヘスペリジン」の開発とその応用

大会長賞
田島克哉(東京薬科大学薬学部免疫学教室)
露地栽培アガリクス(KA21 株)の真菌感染症に対する効果

 

展示の様子


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